本学教育学部附属中学校におけるいじめ重大事態調査の報告をうけて
公開日 2022年07月05日
和歌山大学長 伊 東 千 尋
はじめに、いじめの被害を受けた元生徒とご両親に和歌山大学を代表して深くお詫び申し上げます。
? この度、令和3年6月に設置した「和歌山大学 附属中学校いじめ重大事態調査委員会」から、「調査報告書」が提出されましたので、ご報告いたします。
同委員会は、平成28年10月に本学教育学部附属中学校で発生したいじめ事案について、
①被害生徒に対するいじめに関する事実の調査
②当該事案発生前後における学校の取り組みと課題
について調査し、
③今後のいじめ問題への取り組みに関する提言
をいただくことを目的に設置したものです。
報告書については下記に掲載しておりますが、簡単に概要を説明します。
第Ⅰ部「いじめ調査といじめの認定」では、
学校が被害生徒の転校後に、加害生徒から聴き取った記録の中に、加害生徒が日常的に暴力行為を行っていたことが確認されました。事案発生当時に学校が記録していた3回以外にも、日常生活において頻繁に行われており、長期間にわたる数多くのいじめと、それに対する学校の不適切な対応が相まって、当該生徒が転校をせざるを得ない事態に至ったことが認定されました。
第Ⅱ部「学校及び大学の事前及び事後対応」では、
学校の対応の課題として、
①事前アンケートなどが行われているにも関わらず、いじめの把握に活かされず、いじめ案件を生徒指導案件
と処理するなど、いじめへの認識、感度が低いこと
②事案発生後の処理について「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」や「附属中学校のいじめ防止
基本方針」に従った組織的な対応がなされていないこと
③欠席日数が30日に達していないことなどを理由に重大事態ではない、とした点は誤った判断であること
④学年の教員と管理職との意思疎通が不十分で、管理職層が組織の要として機能していないこと
などが指摘されました。
また、大学の対応の課題として、平成29年12月に設置した「附属中学校におけるいじめ調査?対策委員会」について、
①保護者への対応に力点が置かれていたことや、委員長1人に任せるような状況にあったことから、本来の
いじめ調査委員会の運営が不十分であったこと
②重大事態ではないという結論を前提として、委員会が行われた疑いがあること
が指摘されました。
第Ⅲ部「提言」では、今回の事案を踏まえて、いじめ問題の捉え方に関する認識改善、アンケート結果の共有と引継ぎ体制の構築、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを含めた多職種連携、「問題行動」を繰り返す生徒に対する外部機関とも連携した指導、支援の必要性について提言がされました。
併せて委員会から
①報告書を附属中学校の全教職員、大学の関係者に対して周知し、今後のいじめ問題への取り組みに生かす。
②報告書（概要版）を附属中学校、大学内外に対して公表し、経過の報告と附属中学校、大学のいじめ問題に
対する姿勢を示す。
③附属中学校、大学として、検証委員会を設置し、第Ⅲで提示した提言の実行に関して継続的な検証を行う。
ことが、求められました。
今回の調査結果を厳粛に受け止め、また委員会からいただいた提言を踏まえ、大学は教育学部及び附属中学校と連携して、いじめの起こらない環境づくり、早期発見、早期対応について、下記について取り組んで参ります。
①改善?検証委員会の設置
いじめ問題を専門とする学識経験者、教育委員会関係者、保護者代表等からなる「いじめ問題防止のための
改善?検証委員会（仮称）」を立ち上げ、今後の改善策の策定ならびにその進捗状況の検証を実施します。
②附属中学校における組織的対応の在り方及び組織整備
?本報告書を全教職員に周知し、また「いじめ問題」に関する校内研修会を開催し、教職員のいじめへの認
識、感度を高めることにより、いじめの起こらない環境作り、早期発見、早期対応に努めます。
?定期的な、アンケートの実施といじめ対策委員会の開催により、常にいじめの認知や情報共有を行い、疑
わしき事案については早期に事実関係を聴取し、指導を行います。また、これらの対応記録を可視化し、
将来の事案対応に役立てます。
?スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーと学校教職員が連携した教育相談体制を整備し、組
織的かつ迅速な対応を行います。
③学校外の各関係機関との連携
暴力行為に関し、教育としての対応に限界がある場合は、学校外の関係諸機関（少年センターや児童相談
所、警察、家庭裁判所等）と連携して、問題解決を図ります。
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本件担当
（調査委員会に関すること）
和歌山大学総務課 電話：073-457-7004
（今後の対応に関すること）
和歌山大学教育学部附属中学校 電話：073-422-3093
