「がん」を予防する(1)―胃がんの予防―
公開日 2017年04月03日
日本人の平均寿命(2012年統計)は男性が80歳、女性が87歳、男女を合わせた平均寿命は84歳となり、我が国は再び世界第1位の長寿国となりました。長寿となった最大の原因は医学の進歩により感染症による死亡が減少したことですが、その反面、がんや心血管疾患による死亡者数が増加しています。特にがんによる死亡者数の増加は著しく?その対策がさらなる平均寿命の延長には重要です。具体的には、がんによる死亡者数(男女合計、2012年統計)は1位が肺がん、2位が胃がん、3位が大腸がんの順となっています。
キャンパスライフ?健康支援センター健康支援部門では学生、職員の皆さんに今後の健康増進に役立てていただくために「がん」予防のための情報を提供します。
第1回目は胃がんについてです。
「がん」の原因は不明な点が多くありますが、胃がんの原因については最近ヘリコバクター?ピロリ菌(ピロリ菌)が最大の原因であることが判明しました。ピロリ菌を抗生物質で除菌すると胃がんの発症率が1/3から1/6程度低下するとの報告もあります。特に若年者での除菌は胃がん発症の観点から重要です。ピロリ菌の保有率は20歳代では20%、30歳代で30%、40歳代で45%、50歳以上では60%と報告されています。ピロリ菌の保有は加齢とともに増加する加齢現象ではなく、生下時からの上水道普及などの社会衛生状況によるものです。
ピロリ菌の存在を調べる検査には糞便検査、内視鏡検査、血液検査、尿検査、などがあります。糞便検査と内視鏡検査はピロリ菌を直接検出する検査で、血液検査と尿検査はピロリ菌に対する抗体の存在により判定する検査です。
胃の症状が持続する方や家族で胃がんを多く発症されている方では、一度医療機関を受診され、ピロリ菌保有の有無を調べることをお勧めします。また、症状がない方も人間ドックを受診する際にはピロリ菌検査を希望されることをお勧めします。ピロリ菌の存在が確認された場合には抗生物質で除菌することが今後の胃がん発症の予防には有効です。